こしょこしょ噺

好きなもののこと。育児のこと。あとはつぶやき。一姫二太郎を育てながらふらふら働いてます。

推しから連想して教科書に行き着いた話 ~「真実の百面相」感想~

オニュさんを推していてふと思い出したのが 「真実の百面相」という文章のタイトル。確か国語の教科書で読んだはず…記憶を頼りに図書館でキーワード検索したらあっさりヒットしたので借りて読んでみました。便利な時代やで。(国語の教科書って妙に頭に残る文章が結構あった気がします・・・個人的には「風の強い日」と「山月記」と今回の「真実の百面相」あたりが印象的です。)

正確には 、大森荘蔵著の『流れとよどみ 哲学断章』の第4章で、文庫本にして5ページ程度のとても短い文章でしたが、 自分にとっては推し活するにあたってのお守りになるようなキーワードが盛り込まれた内容でした。

「真実の断片は否応なく表面にむきだしにさらされている」
「そしてそれらを集めて取りまとめれば百面相の真実ができあがるのである」
「人の真実は水深ゼロメートルにある」

一見矛盾しているように見えること、相反するように見えることもそれらは皆真実。何が正しくて何が間違いということはない。強いて言うなら、何か一つの側面がその人や物事の全てだ!と一面的に解釈することが誤りを生むよ、だって真実は豊かな百面相なんだから、という哲学的な内容が比較的わかりやすい日本語でまとめられています。

私自身は基本的に人間のことも物事のこともちゃんと理解せんと!と裏を読みすぎて勝手に疲弊する傾向があるので、特にオニュさんみたいな別人レベルに多面的なキャラクターの持ち主を推す場合、「真実の百面相」で言われていることは心にとめておいた方がいいなと思った次第です。あとは真実のピース集めに一生懸命になりすぎないように、穏やかなテンポで推せるように、という言葉も自分へのメッセージとして追加しておきます。
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※画像は全てお借りしています。

にしても初見から20年以上たっても覚えていて、何なら読み返して励まされるとは、国語の教科書の文献選定のセンスはやはり秀逸だ。

※3/22追記:推し活と紐づけて読むと、同著の第17章「ロボットの申し分」も名文だと思いました。

他人の心を『信じる』のではなくて、あなたが他人の心を『創る』のです

上記のような創造行為を「心の『吹き込み』」というとても印象的なキーワードで表現しています。人間である以上お互いに心を吹き込みあうことはやめられないし、そうやって初めてお互いを人間にしあっているのだよ、と。

推される側と推す側の関係に当てはめてみると、何だか素敵でドキドキしてくるのは私だけでしょうか?