こしょこしょ噺

好きなもののこと。育児のこと。あとはつぶやき。一姫二太郎を育てながらふらふら働いてます。

白雪姫の継母の心を明るくできたかもしれないもの

先日上の子のリクエストで「白雪姫」を読んだのだが、継母お妃のいたたまれない言動にばかり気を取られて読み聞かせに集中できなかった考え込み過ぎ系おかんがここにいます。古典のおとぎ話はこってこてのルッキズムエイジズム満載のものも結構あって、しかも上の子がそういうこてこての話が結構好きで(かわいいお姫様をめぐるハラハラドキドキのストーリーと、かわいいお姫様の挿絵がとにかく好きなのだ)、子どもがせがむ限りは拒否らずに読み聞かせしてますが正直しんどいなぁと思うことも。

歳を重ねようが誰がなんと言おうが自分は綺麗!と信じることができなかったお妃の自己肯定感の低さや(よく分かんない基準で勝手に人の美醜を評価する鏡は彼女の心の声なんだろうか)、娘を毒殺しようと呪い部屋に閉じ籠もって一心不乱に作業する妻を横目に王様は何やってたんだろう、とか、華やかな花嫁姿の娘が見つめる前で灼熱の靴履いて死ぬまで踊り続けなければならなかったという悲惨な最期とか、読んでる途中から何だか泣けてきた。

継母お妃にも推しがいればよかったのに、そう思う。城内に出入りする音楽奏者、踊り子、歌い手etcきっと国中から芸達者なアーティストが沢山集ってお妃の前で披露する機会もあっただろうし、例えばその中の誰かに夢中になることができていたら、他人の容姿がどうとか自分に関心を寄せない王様のこととかほんとどうでも良くなってたかもしれない。お妃の財力最大限活かして、推し専用のパフォーマンスホール作ってあげたり、プライベートコンサートもきっと開催し放題だよきっと。そして特技の秘薬作りのスキルを磨いて、娘よりも、ではなくて今の自分よりも何倍も綺麗になって推しを驚かすための美容医療薬を発明していたかもしれない。それが出来上がる頃には、自分が娘を殺そうとしていたことなんてきっと忘れてる。死の踊りではなく、推しを愛でて楽しく小躍りして、お妃の心は前よりも少し明るくなるんだ。

これもまた、パラレルワールドおとぎばなし。推しはグリム童話の悪役の心も照らすかもしれない、という妄想小噺でした。