こしょこしょ噺

好きなもののこと。育児のこと。あとはつぶやき。一姫二太郎を育てながらふらふら働いてます。

KEY on 'Gasoline' Solo Album Inspirations(2022/09/02 Billboard)和訳メモ

この前読んだオニュさんのBillboard記事が良かったので過去にもSHINeeのこと書いてくれていないかなーと探したら、ありました!キーくんが「Gasoline」でカムバックしたときの彼へのインタビュー記事です。インタビュアーはオニュさん記事と同じ人なので信頼度抜群ですね。そしてこの記事がまた面白かったので、少し長いですがざっくり訳を記録します。今月末はKEYLAND。キーくんが愛する世界観や、クリエイティブに対する基本姿勢やこだわりをこの記事でおさらいして、臨みたいと思います。(直接現場で見届けたかったけど、今回はおとなしく配信視聴組です…。)
元記事はこちらです。

www.billboard.com

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キー、「Gasoline」アルバムにインスピレーションを与えた家族秘話そして「Little Freaks」を独占告白

ホラー映画のこと、キュートな家族たちのこと…キーの個性が最もよく表現された今回の音楽の創作に取り入れられたその他全ての経験について、キーはビルボードに語った

By Jeff Benjamin

2022年9月2日

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ベットの下に潜むモンスターからピエロや虫に至るまで、幼い頃に怖がっていた多くのものは、大人になるに従って見当違いなものになったり時にはくすりと笑えるものになったりする。キーの最新アルバムにおいて、ボーイズグループメンバーであるキーは、思春期の最も風変りなところのいくつかを、彼のK-pop作品の最新コレクションにインスピレーションを与えたその遊び心と好奇心をもって再訪している。
8月30日にリリースされた「Gasoline」はキーのセカンドフルアルバムであり、昨秋リリースされた彼のレトロ調アルバムである「Bad Love」EP以降にリリースされた、SHINeeメンバーの中では初めての新作である。「Bad Love」は、キーのSF映画に対する興味関心にスポットライトをあてることで彼がクリエイティブの主導権を握っていたが、今回のLPでは映画への愛も強調されているが、同時にキーの個人的な子ども時代のエピソードやその時の影響も織り交ぜられている。

1991年に生まれたキーの子ども時代の核となったキッズ映画は、「トイストーリー」や「シュレック」といったコンピュータアニメーションが主導権を握る前に制作された作品だ。このスターは、初期のディズニー作品やアニマトロニクス*1、ストップ・モーション*2映画といった、1980年代から90年代に流行したヴィンテージ映画に愛着を持っていました。彼は、「グレムリン」や「マーズアタック!」のような作品におけるダークコメディや風変りなユーモアについても愛情をもって記憶し続けていて、それもインスピレーションとして彼に深く根付いた。

それらは恐らく、「Gasoline」の中でも最も素晴らしいフォトショットの一つに最もよく表れている。そのショットにおいては、目玉が木の枝から生え、不気味な屋敷の裏手から赤い月が照る呪われた平原の中の食卓に彼は座っていて、古き良き映画の悪役の雰囲気を漂わせています。『怖くてキュートになる方法』という題名の本を手に持ちニヤリと笑うキーに目が釘付けになっていると、すごくハロウィーンのような雰囲気が漂ってくるのです。

「これは、僕自身の投影なんです。」彼がソウルから参加してくれた午後のZoom通話で、キーはこの写真についてそう語ってくれた。「今回のアルバムのコンセプトを検討したり、参考資料を作ったりしている時に思いついたことです。当時観た、怖いと思っていたはずの映画が今になって観たら何だかかわいいものに思えてくる感覚についてスタッフにも共有しました。僕が口頭で語ったことを、制作チームが文字起こししてくれたんです。」

キーのホラー映画体験、キュートな家族たち、そして彼にとってこれまでで最も個人的な音楽の創作活動に影響を与えたその他すべての体験について、この先の記事をぜひ詳しくお読みください。

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なぜ今があなたにとってセカンドアルバムをリリースするのに最適なタイミングとなったのですか?

本当はもう少し早く出すべきだったと思います。前回のアルバムから今回までの間はなるべく短くしたかった、でも準備を進めているうちに夏になり、すべてが整ったタイミングでリリースしようと思うようになりました。だからある意味、自分が思っていたよりは遅いタイミングだったけど完璧なアルバムに仕上げられたのだと思います。

「Gasoline」は前回の作品とは全く異なっています。「Bad Love」から「Gasoline」の変化に時間がかかった、ということでしょうか?

前回の「Bad Love」をプロモーションしている時から、これとは全く対照的で異なるクリエイティブを行うことを考えていました。キーだけができる何かのことを。そして今が、今回のセカンドアルバムを世に出すタイミングだと考えたんです。だから、僕がこれまでに経験した変化以上のものと言えるでしょう。それは、自分のより強力な側面を見せびらかすために当時自分が抱いていた思考のようなものです。コンセプトの構想を既に持っていたから作品リリースまでの間隔縮めることができるかもしれないと言ったし、当時から構想していたからこそ早めに出せるかもと言いました。だからと言って「Bad Love」が嫌いという訳ではないです。これらの作品は皆僕の子どもみたいなものですから。

分かりました。このアルバムには沢山の想いが込められているようですね!「Gasoline」をタイトル曲にしたのはなぜでしょうか?

タイトル曲の選定は難航しました。タイトル曲候補を探して議論している時に僕にとってぴんとくるものが無かったので、ライターの(プロデューサーでもある)KenzieとMoonshineに、タイトル曲を書いてもらうようお願いしたんです。すべては僕の頭の中にあった。自分が求めている楽器音を、文字通り自分の口で説明して(ビート音を出して)真似してみました。MVのコンセプトについても全て自分で説明し、それを彼らが「Gasoline」に落とし込んでくれたんです。

私は「Gasoline」のコンセプトとビジュアル部分がお気に入りです。ちょっとおどろおどろしくて、風変りなところが大好きだ。これらのインスピレーションはどこから湧いてきたのでしょうか?

どれも1970年代~1990年代のホラー映画や冒険映画からきています。それらのインスピレーションを、今回のアルバム(の写真)では全て組み合わせたくてこういう仕上がりになりました。

写真に登場する小さな生き物でさえ、小さな人形を用いて撮影したその手の映画のことを想起させます。

それ何の映画ですか?グレムリンで合ってます?子ども向け映画に登場する小さなゴブリンみたいに可愛らしいもの達、小さなお人形たちを僕のアルバムで表現したいといつも思っていたんです。自分だけのそういう作品を求めていた。

あなたが犬を愛していることは誰もが知っていることなので、(今キーが言ったことが)私にも分かります。

犬とともに暮らし、彼らの無邪気さを知っているということや、僕が持っている犬たちへの感受性があるからこそ、先ほど言われていた「生き物たち」というワードも今回の作品のコンセプトに反映されているのだと思います。

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あなたは自分のファンたちのことを「Little freaks(小さな変人ちゃん)」と呼んでいるそうですね。今のお話も関係していますか?

ええ、この呼び名は僕が若い頃に愛した全ての映画、宇宙の生き物や怖いモンスターに焦点をあてたような映画からインスピレーションを受けています。そう、僕は「freaks」とはこれらの生き物たちをヒーローとして扱い、表現する言葉だと思うんです。今回のアルバムにおけるfreaksの存在にもそのような意味を込めています。

グレムリン」や「エルム街の悪夢」の他にどんな映画が好きですか?

「ナイトメアビフォアクリスマス」は、僕の最もお気に入りの映画の1つです。あとはうーん、ヒーローものではないですが、「マーズ・アタック!」もお気に入りです。あとフレディ・クルーガー*3はもう怖くないですよ。むしろ可愛い!

あなたの視覚的なインスピレーションが音楽に影響を与えるのか、それとも音楽がコンセプトに影響を与えるのか、どちらなんでしょうか?

曲によってどちらとも言えます、ですが「Gasoline」に関してはイメージ画や写真のコンセプトから始めて、そこから自分がMVで魅せたい衣装やファッションを創りあげて、曲作りにとりかかりました。

あなたはファッションに関して境界がないことで知られていますし、今回の作品にもその要素が見て取れると私は思います。「Gasoline」のファッションについて教えてください。

この曲について具体的に言うと、概念化について全てのジェンダーに対してインパクト与えることも影響を与えることもどちらもでき得るようなルックを創作し、その両方の道に進めるようなファッションについて明らかにしようとする曲でした。これは僕がいつも考えていることです。僕はいつだってこの世界に影響を与えられる存在でありたいし、その想いはこのGasolineという曲のファッションにも特に反映されています。

音楽について言えば、特にあなたが作詞した曲には多くの意味合いが込められていると感じます。歌詞を全てご自身で作詞した「I Can't Sleep」について教えてください。

タイトルから想像がつく通り、この曲はうまく眠りにつくことができない人の思考を基にした曲です。僕自身も眠りにつくのに時間がかかる方なので、そういった意味ではこの曲の半分はフィクションだけど僕自身の経験も基になっていると言えます。現代病ですね。分かります?つまり不眠症

G.O.A.T (Greatest of All Time)」はどうですか?

この曲は「僕って大人なのかな?」という考えに基づいたものです。そして、自分自身を大人と思えるかどうか、ということ。僕が若い頃は、今ぐらいの年齢になる頃には自分の父のような雰囲気になっているだろうという予想をしていました。だけど今その年齢になってみて、まだその雰囲気には至っていないように思います。この曲はそういう気づきから始まる物語であり、大人になる時はきっちり決まっているわけではないという感覚から始まる物語でもあるのです。人は常にその時々自分がいる場所にいて生き続けているというだけのことなんです。この曲のタイトルは自分に関係ない誰かのことを言っているのではありません。誰もが最高の状態でいられるわけではない、自分自身の現在地点を嘆く必要はないんだと、ただそう言い続けている曲なんです。僕自身がいつも史上最高という意味ではないんです。この曲の歌詞にある「君はいつでも史上最高だよ」という言葉が、安らぎをもたらすメッセージになることを願います。

Kenzieと「Gasoline」の歌詞を書いたことを先ほど話してくれましたが、この曲の歌詞ではどのようなことを表現しようとしたんですか?

この曲は、自信に基づくこと、をテーマにした曲です。「Gasoline」という言葉を用いて、「なぁ僕に火花を散らしたら、大爆発するかもしれないぞ」と言っている歌詞です。もし自分に自信があるのなら、試して反応を見てほしい…これが僕が伝えたかったメッセージです。僕はこれまで、自伝的な物語や経験をタイトル曲に盛り込んだことがなかったので今回そうしました。

あなたは最近の自分自身に自信を持っているということでしょうか?

実際には「ねぇこれが僕という人間だよ。僕は僕だよ」という単なる声明です。ただそのことに自信を持ち、他者の意見に縛られないこと。自分自身で強く立つということです。

私はあなたが示してくれる誠実さにいつも感謝しています。時にミュージシャンのペルソナというものは意図的に違えられたりするものなので、今回のタイトル曲にあなた自身を置くことに自信を持っているという話が聞けて嬉しいです。同じくあなたが作詞した、このアルバム最後の曲である「Proud」へのつながりも素晴らしいですね。

この曲は僕自身について書いた曲です。僕が子どもの頃に母がつけていた日記に書かれていたストーリーを盛り込みました。母は僕の育児日記を毎日つけていて、僕にも読ませてくれたんです。母は写真も送ってくれました。だけどそれは「ねぇ僕は成長して大人になったんだよ」というよりも、今こそ僕がこれまで成し遂げてきたことを十分に誇りに思っていい時なんだと理解し感じながら進んでいる、ということです。僕は練習生時代も含めると17年ぐらいSM(エンターテイメント)で過ごしてきました。この曲は「君はよくやってきたよ」というメッセージであり、僕自身へのねぎらいのメッセージなんです。

これらの曲についてあなたが語ることを聞いていると、とても内省的な曲のように思えてきますがどうでしょうか?

とても内省的な曲ですね。一般的には歌詞にはフィクションの要素を取り入れる必要があるけど、今回のアルバムに関しては、フィクションのストーリーを入れ込むと説得力が薄まってしまう。今こそ、僕がやりたいことを存分に表現すべき時だと。これまでにお話ししてきた「Proud」と「I Can’t Sleep」は歌詞の面でこのストーリーを取り入れるために創った最初の二曲です。

現在地点に辿り着くためには何年も費やす必要があったと思いますか?

すべての経験が、僕の現在地に辿り着くために本当に必要な経験だと思います。僕のファーストアルバム「Face」についても、制作チームの各部署と僕が会話しながら創った作品と言えるでしょう。だからこそ僕は「Bad Love」へ進んだし、その経験を基に「Gasoline」を創り上げた。全ては繋がって循環しているし、僕が今いる場所に辿り着くのにまさに必要な経験でした。

あなたの言う事は大いに納得がいくことばかりだし、あなたの話に何度も登場しているご家族についてもそうです。音楽においても、家族の存在は大きいのでしょうか?

家族は僕が一緒に育った人たちだし、真の役割を果たしていると確信を持って信じています。家族は僕を育て、僕が学び、音楽の好みや彼らが持つストーリーを参考にしている人たちです。それら全てが今の僕を形づくっています。僕がディズニーや宇宙の熱心なファンであることでさえ、家族が僕の中に作り上げた文化のようなものなんです。だから、家族のことは常に僕の意識の中にあるしとても重要なものと感じています。

ディズニー映画も好きなんですか?

ええとても。ただクラシック映画の方のディズニーです。これらのクラシックディズニー映画ですら、当時はちょっと怖かったですよ!「ピノキオ」は僕が観た最初のビデオ、最初のディズニービデオで、母が父の兄弟から字幕なしのものをもらってきたんです。当時僕は5歳か6歳ぐらいだったと思いますが、このビデオは何100万回も観ました。今でも観たいなと思ったら時々見ますよ…これもまた、ちょっと風変わりな作品。

キーについてまだ私たちが見ていない側面はありますか?あなたは料理もとても得意と聞きました。食もキーのプロセスの一部ですか?

これから僕が何にインスピレーションを得て、何が僕の創造力に火をつけるかは自分でもよく分かりません。「まだ見ていないものは何か」ということには僕自身も興味があります。だけど僕は、僕たちの周りにある全てのこと、ポップカルチャーにおけるすべてのことが未来の参考情報になると考えています。ワインバーに行くときでさえ、盛り付けやお皿の色、そこに盛り付けられている食事を見ることが参考になったりします。

僕が展覧会に行ったり、好みではない映画を観るのが好きなのはそういう理由だったりもします。そこにインスピレーション引き起こす何かがあるかもしれませんから。

最後に一言お願いします
音楽は、僕がこれからもずっと続けていくものです。僕の頭にいつもあり続けるのは、他者に対して影響を与えたい、そしてそのそれぞれの人生にインパクトを与えたいという想いです。これが僕の情熱であり、僕は自分自身のよい面を色とりどりの色でもって魅せ続けていくつもりです。僕の音楽に興味を持ちかけている人がいたらどうかためらわず、もっともっと、僕の楽曲を聴いて欲しいです。

*1:SFXの一種で、生物を模したロボットを使って撮影する技術

*2:静止している物体を1コマ毎に少しずつ動かしカメラで撮影し、あたかもそれ自身が連続して動いているかのように見せる映画の撮影技

*3:エルム街の悪夢」の登場人物